護送船団方式概説4

他の国なら、とっくにたくさんの大企業が倒産しておかしくないのに、バブル以降もほとんど倒産してこなかったのは、護送船団方式によってもたれあい、頼りあうことができたからです。
「いつか景気がよくなれば、1100兆円の穴埋めもできる・・・」と、甘い期待を捨てられず、いつまでも傷をそのままにしてきました。

しかし、山一証券の倒産が、すべての企業に決断を迫りました。
すでに述べたように、大蔵省の指導方針に従う限り、大企業はつぶれる心配がない、はずでした。
ところが、わずか数千億円(山一証券の規模からすればごくごくわずか)の資金不足で、山一証券は破綻に追い込まれました。

大企業の多くが、この山一破綻を見て、「大蔵省は『守り神』でなくなった」と悟りました。
「守ってくれないなら自衛するしかない」という危機感が大企業に走り、これまでならあり得なかった、企業グループを越えた提携・合併劇が急速に始まりました(三井銀行住友銀行など)。

特に銀行は、山一と同時につぶれた(つぶされた?)北海道拓殖銀行の破綻を見、「大蔵相に素直に従っていてはダメだ」と判断、大蔵省の統制力は、急速に失われました。
これが、いわゆる「護送船団方式の崩壊」です。