護送船団方式概説3

護送船団方式では、大蔵省の指導方針に従います。
それによって、統一された行動をとり、発展を遂げようとしてきました。
この指導に素直に従う限り、いわゆる大企業は決してつぶされる心配がありませんでした。
ましてや、大蔵省OBを直接引き受ける銀行は、全くつぶれる心配がなくなりました。
これによって企業は安心して大規模投資を行い、鉄鋼、造船、自動車、半導体と、次々に新産業を生み出し、世界を席巻する力を付けました。
これが、かつて「ジャパン・アズ・ナンバーワン」と呼ばれたシステムでした。

しかし、バブルがすべてを台無しにします。
バブル自体、大蔵省が自作自演した側面の強いものです。
日本の企業の株は、同じグループの企業が持っていました。
ですから、株式市場に、ほとんど株が出回ることはありませんでした。
「大企業の株」という強い信頼と、ほとんど売りに出されないという希少価値で、日本の株は実態以上に高くなる傾向がありました。
バブルはこのからくりを、意識的に駆使して、株価を暴騰させたものです。
土地も同じようにして、「土地は必ず値上がりする」という信頼と、希少性を持たせて、どんどん買いあさり、値をつり上げました。
株と土地の資産価値が一気に上昇し、日本企業はいずれも大金持ちになったような錯覚に陥りました。

しかしバブル崩壊
株と土地は、合計で1100兆円も下落しました。
企業は「まだ値上がりする」と、どんどんお金をつぎ込んでいましたが、それが全部泡となって消えてしまいました。
それらが、すべての企業に、「不良債権」として滞留しているのです。
日本の多くの企業が、バブルの後遺症に苦しむようになったのは、大蔵省をトップにいただく護送船団方式があったため、統一した行動をとってしまったためでした。
それまでの護送船団方式が発展のために機能してきたとすれば、バブルの時は、バクチを演出するために機能した、と言って過言ではないでしょう。