三つ子の魂

少年院の院長?をなさっていた相部和男さんの著作に、「非行の火種は3歳に始まる」という本があります。
三つ子の魂百まで、といいますが、3歳になるまでの経験・体験が、その子の一生を通じる世界の捉え方・生き方の基礎になるということを、実例を挙げて紹介しています。


生まれてからの半年間。
この期間は、両親がどんなことがあっても守ってくれ、自分の存在を受け入れてくれる、という安心感を与える時期だといいます。
その子が人生を肯定的に生きる基礎的な条件が、ここで形成されるのかもしれません。


そして3歳になるまでに、道理を教え導きながら、なすべきこと、やってはならないことを伝えなければならないようです。
もしその子が誰かを殴ったら。その場でその子を打って、自分のしたことが「痛い」ということを伝えなければなりません。
もしその子が誰かを罵ったら。その場でその子を罵り、自分のしたことがどれだけ人を傷つけるのかを伝えなければなりません。


子供は優しさと残虐性を持ち合わせています。
しかし、残虐性が優しさと矛盾すると考えるのは大人の勘違いで、矛盾して感じる感性を持つには、大人が厳然たるルールを体現しなくてはならないように思います。
残虐になることが今、自分の味わっているつらさを他人に与えることなのだ・・・そうしたことを体験的に理解することで、その子自身が持つ優しさが、自分の残虐性の酷たらしさを教えてくれるようになるのではないでしょうか。


イヌイットの人々が、子供に火の恐ろしさを教えるために、わざと小さなやけどをさせるという有名な話があります。
この世界には法則がある。
人の世にもルールがある。
それを体験的に伝える重要な時期が、3歳までの期間である、というのです。